ムーンプランナーを販売するようになって、たくさんのひとの感想を聞くことができるようになりました。
特に手帳好きさんたちの手帳愛にあふれるつぶやきなどをTwitterで見ているのはとても面白いのですが、ある日ふと思ったことがあります。

手帳が好きな人は、いろんな理由で手帳が好きです。
でもおそらく大きく共通するのが「予定や自分の事をコントロールできるようになる」という感覚
これがあるから、手帳が好きなのではないでしょうか。

でもわたしはそこから、あれ?と違和感を感じ始めたのです。
その違和感は小さなものでした。
自分をコントロールできるようになるというのは、当たり前のことでとても重要なことだからです。
できて当然で、小さな子供たちはトイレットトレーニングやご飯の食べ方から、自分をコントロールしていくことを学び、身に着けていきます。社会にでて働くのも、自分の行動を時間通り行うというコントロール方法を身に着けていなければできない事です。ありとあらゆる事が、「自分をコントロールすること」の上に成り立っています。

でも、それって本当にそうなのだろうか。

なぜかムーンプランナーを作って販売して、ほぼ毎日TwitterやFacebookページなどで何かしらの月の満ち欠けに関する発信をしていると、当たり前に思えていた「自分をコントロールすること」への小さな違和感が少しずつ大きくなってしまいました。

この違和感はなんだろう、としばらくの間、考えていたのです。
そのうちにも月の満ち欠けは続き、満月前にイライラしたりだるくなったり、新月前にはスッキリらくらくした気分になったり(これはわたしの体質、体感なので、人によっては全く逆だったり、そんなに波がなかったり、むしろ半月頃がちょうどいいという感覚だったりといろいろです)していました。
この波は、どうしてもコントロールできないのです。

やっぱり、コントロールできてない。
けど、これってわたしのせいだろうか?

月の満ち欠けなんかコントロールできないし、それに合わせて環境を整えればいいって言われても、会社はいつでも忙しい。仕事が減る訳じゃないし、電車に座れる時間に家を出たら遅刻になってしまう。
手帳に体調を書いて、時間を考えて、毎日のご飯を栄養バランスよく作ったり食べたりして、できる限りのコントロールをしているのに、それでもコントロールできてない!

毎日の小さなことではなく、人生を俯瞰しても、似たようなことはたくさんあります。
何歳までに貯金をいくら用意する。
何歳までに結婚する、子供を産む。
キャリアデザインをして、ワークライフバランスを考えて、セルフブランディングして……

……うるさい((+_+))

できっこない。
できるって思ってた、学生の頃には。20代前半には。
でも、できないこともたくさんある。

誰があんな大地震や津波が来ることを想定してキャリアデザインしてただろう。
自分が知らない、生まれる前の事が原因でいつの間にか大きな借金を背負わされていても、それも自分の努力が足りなかったせい?

そうかもしれないけれど、そうじゃないかもしれない。

月の満ち欠けを追いかけていると、いろんな人がいろんなリズムで動いていることがわかります。
新月前がもうぞわぞわして不安になってしまうとか、満月前がモッタリしてほんとに嫌だとか。
でもそうじゃない時は、ものすごく切れのあるアイディアがズバズバ出たり、あっという間にこまごました処理をやり遂げたりできます。
これが同じ人なの?と思うほど、違ったりします。

そもそも、自分で自分をコントロールできると思うところが間違っているんじゃないのかな?

最初に感じた小さな違和感は、そんな問いに変わりました。
本当は自分というものはコントロールなんかできないほどじぶんにとって大きな存在なんじゃないだろうか。
自分の考えなんか及ばないほど、わたしという存在は確固として存在しているんじゃないだろうか。

自分自身をコントロールできるなんていうのは、非常におこがましい考えなのかもしれない。
自分がコントロールできると思うからこそ、他人もコントロールできるという考えが始まるのかもしれないし、そこから始まる苦しみは誰しも知っていることだと思います。
自分がコントロールできると思うから、コントロールできない事を異常に責めてしまうという苦しみもあると思います。

まずは、もうとりあえず、自分で自分がコントロールできるという幻想をてばなそう。

「えっ、じゃあコントロールしないで自由気ままな野生児にもどってしまうの!?」
いやいや、絶対そんなことにはならないと思います。
家から出るときにノーメイクで出られても、全裸で外出できる人は多くないでしょう。
言われなくても、すでに必要なコントロールの力は備わっていると思います。
だから、必要以上に「自分をコントロールする」という思い込みを、ちょっとだけ手放してみる。
またオリンピックを目指すアスリートのような自己コントロールを始めたいなら、もう一度始めたらいいだけなんだし。

手帳にありとあらゆることを書き込めば、ものすごく素敵な手帳術を見つけて身につければ自分がコントロールできるという幻想。
これは、何度も挫折したという体験があちこちで聞かれます。

手帳を失敗する理由は、実際には手帳にはなくて、手帳の外、自分の心の中にあるのだと思うのです。
その最大の理由が「自分は自分をコントロールできるという幻想」じゃないかと、なんとなく感じるのです。

自分が思っているよりもっと深くて暗い闇があるし、自分が思っているよりずっと強い光を放つこともできる。
だから、自分がコントロールできないからって自己否定に走るのはちょっと早いような気もするのです。
でもそんなんことは自分には見えません。コントロールできればきっとうまくできる!と思うのも当然だと思います。

じゃあコントロールするのをやめたら、どうなるのだろう。
それもずっと考えていました。
その答えははっきりとは見えていないのですが、不思議と感じるのは「地に足がつく」感覚になるということです。
コントロールを手放すと、勝手に自分の重さで地面に着地するような感覚。
言い換えれば、落ち着くとか、ゆったりするとか、そんな感じです。
ムーンプランナーを使っている人のお声を聴く中で、よくあるのが「時間の流れが心地よい」「思っていたより時間はゆっくり流れていて、あっという間に過ぎていくものではないと感じる」というようなものです。
すべての人に共通する感覚ではないと思いますが、なにかここに大きな理由があるような気がしています。

ムーンプランナーは、奇妙な手帳です。
短期間で自分をコントロールして目標を達成するためのツールとしてもなかなかに優秀です。(二週間という扱いやすいスパンと月の満ち欠けという指針があるので迷子になりにくいのです)
でも大きく俯瞰で見ると「自分はコントロールできない」のだから慌てないで大丈夫という感覚をゆっくり与えてくれます。
いや、ムーンプランナーが、というより、ちょっとばかりスピリチュアル的な言い回しになりますけれど、単純に月の満ち欠けのリズム、現在の社会の時間割ではなく自然や宇宙の時間割に沿っていれば、そうなるのかもしれません。

コントロールするための手帳、管理するための手帳も、とても大事です。
目標を達成するゲームのような楽しさも、否定するなんておかしな話です。
ただ思うのが、そんな事が通用しないものもたくさんあって、それが意外にも自分自身だったりするということに、ある日気づく(もしくはいやいやながらも認めざるを得ない)日がきたりします。

そんな日も、きっとあなたの使っているムーンプランナーは祝福してくれるのではないでしょうか。
空欄ばっかりのページも、後になってあれこれ書き込んでみたページも、先走って書いてしまって修正ばっかりのページも。
これと言ってお祝いの言葉をいってはくれないでしょうけれど、ちゃんとあなたの時間を支えてくれるのではないかと思います。

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