実はこの商品は私の失業がきっかけで実現化することになったといえます。

派遣社員としてある会社のマーケティング部で働いていたのですが、その会社のシステム部で働いていた友人が現在ムーンプランナーのアートワーク担当です。

想定外のタイミングで派遣契約終了が決定し、呆然としながら私は社内でよお世話になった人たちに少しずつさよならを言いにランチに誘ったりしていました。

「12月で契約終了になっちゃった。急なんだけど」
「え、わたしも年末で退職予定なんだよ」
「え?」
システム部とマーケティング部はフロアが違うので、毎日会うことはありません。久しぶりの会話が退職の話だったのですが、返ってきた返事もまた驚きのあるものでした。
「辞めたらどうするの?」
「どうしようか」
未来なんて、ホントにいつも見えないものです。
じゃあ、明日ランチで、ということになりました。

私は、なんとなく、美大出身の絵描きでもあるシステム部の友人に以前作ったムーンプランナーの前身である月の満ち欠けをベースにしたスケジュール帳のことを話そうと思っていました。
一度は商品化を目指したものの、2年程頓挫したままのスケジュール帳作り。

「これ、もう一度作りたい」
私は鶏の南蛮揚げ定食を食べながら、商品のコンセプトと中身を話して、そういいました。

「おもしろいね、やろうよ」
親子丼を食べながら、あっさり彼女は答えました。

時に、人生には風が吹くと思うのです。

あっさりやろうといった彼女は、わずかな打ち合わせの後、あっという間にムーンプランナーを作り上げました。
スケジュールはとてもタイトですし、お互いまだ仕事がありますし、就職活動だって必要です。
失業中なので、お金のことなどものすごい不安です。貯金だって何ヶ月も暮らせるほどあるわけじゃありません。
しかし私の不安定な状況をよそに、あっという間にムーンプランナーは形を得ていきました。

人間同士の偶然がかみあった瞬間、何年も頓挫していたものが嘘のようにぽろりと息を吹き返す。
奇跡のようだとおもいました。

あとは、お金を払って印刷をするという、最後の「幻に実体を与える」段階にきています。
夢のようなものが、わずかな偶然から現実になる。
楽しみでしかたがありません。

販売まで、あと少しです。