言葉ではなく伝わること。

ムーンプランナーが目指しているものは、最初に私がひとりで方眼ノートに書き付けていた手書きのオリジナルカレンダーの時よりもぐっと成長して、より深いものになってきました。

最初は単純に決められたカレンダーからの脱却、それが「社会から与えられた時間割り」から自分の時間を取り戻すためにとても役に立ちました。

でも、アートワーク担当と二人で頭をつき合わせて内容を深くしていったところ、言葉にたよらずにばっと開いただけで月の満ち欠けの状態が理解できる仕掛けを作ることができました。

それはとても単純なデザインの仕組みで、従来のカレンダーがやってこなかったことをやっただけです。
重要な日の枠をおおきくすること。満月と新月はそれぞれバックの色を変えること。ただそれだけです。

従来の月齢カレンダーはどの日も同じ大きさの枠に収まり、たくさんのアイコンや数字や暦や雑節を示す言葉がてんこ盛りでした。
でも、月の満ち欠けは言葉じゃない。
「今日は満月前日でーーす!」と月が言うわけではないのです。
ただ日々その形を無言で変えていくだけです。雲に隠れて見えない日もあります。
ならば、当然月齢を知るカレンダーも、言葉でそれをとらえてはいけない。もっと直感的に、空を眺めるように、たとえその姿を見ることがなくても、把握できなくてはいけないはずです。
アイコンがてんこ盛りのごみごみしたカレンダーではダメなのです。

情報をどんどん減らし、規定のフォーマットを壊し、言葉以外で把握する方法。それもとにかくシンプルで簡単な、単純な方法。

それが、ムーンプランナーの中には仕掛けられています。

印刷や使う紙について、迷いながら、また少ない少ない予算の中で、これからバージョンアップしていくべき箇所はたくさんあるとは思いますが、開いたページの中の単純で深い仕掛けは、必ずこの手帳を使う人に届くだろうと思うのです。

月はなにもいわない。でも私たちは月があることを知り、月の満ち欠けを理解している。それは、言葉に頼らない野性のようなもので。
その野性を取り戻す仕掛けが、ページの中に潜んでいます。