願いは、ある日突然叶ったりする
東京駅がものすごくきれいに修復されて、近くの元中央郵便局の白亜のビル(単純に白いビルと言うよりも、もっと時代がかった言い方が似合うと思う)の中にKITTE(キッテ)という商業施設ができた。
とにかく、丸の内センスのもっとも素敵な部分を取り出して、なおかつ街ゆく人や旅行者にまで間口を広げた優しさを合わせ持ったおしゃれスポット。
でも、わたしはなぜか東京駅の地下通路で迷ってしまって、いつもたどり着けずにすごすごと帰ってばかりだった。
東京駅の地下は、何となく天井も低めだし、どこも同じような感じで、広大な迷路みたい。でももしギリシア神話の迷宮の魔獣ミノタウロスがいたとしたら、きっちり背広を着込んでいそう。
2月のある日、わたしは地方に住む友人を東京駅まで見送りに行った。
「前に東京に来たときは、まだ工事中だった」
「じゃあ、東京駅を見ていこうよ」
わたしも完成してから何度かいったけれど、やはり通過しただけだったから、もう一度ちゃんとドームのレリーフがみたいと思って、見送りという名目で東京駅まで出かけたのだ。
東京駅のドームには、月の満ち欠けのレリーフもあるらしい。
これはその時撮った写真だけど、あまりうまく映っていない。
友人は東京駅の向かいに建つビルに入り「前に来たときには、ここでビール飲みながら、工事中の様子を見てた」と、冷える風をものともせずに吹きさらしのテラスにでる。同じように東京駅を上から見たいという人も多かったようで、テラスには何人も人がいて、写真を撮ったりしていた。
上からKITTEを見ながら他愛のない話をする。
「あそこにどうしてもたどり着けないんだ。東京駅の地下通路は迷路みたい」
「じゃあ、今日いけばいいよ」
彼は事も無げに言う。新幹線に乗って帰る彼にとって、KITTEがどんな場所なのかはそれほど興味はなかったらしい。
「あそこに、うちの商品を並べたい」
そんなことを言うと、彼は少しあきれたような感じで言う。
「すげえな。そんなこと、考えたこともない」
「そう?」
そんな話をしていたのは、二月の頃だった。
別に、なんのあてもなかった。
その二ヶ月後。
丸の内リーディングスタイルというエッジィな本屋さんの文具コーナーに展開する限定催事に出品の問い合わせがあった。
最初は東京都内での催事としか確認していなかったのだけれど、よく見たら、場所はKITTEの4階にあるという。
あの白亜のビル!
願ってはいたけれどそれきり忘れていた願いが、突然叶った事を知らされたのだ。
そんなわけで、納品の日の夜遅く、やはりウロウロと迷いながらお店にたどり着いた。
マルノウチリーディングスタイルは、カフェスペースも最高で(特に机の広さ、安定感、明かり)。
スタンダードのホットドッグ食べました。無添加ソーセージはなかなかカフェで食べられない。
奥の壁には、suicaペンギンとか、手帳好きにはおなじみの「オジサン」の落書きが!
本の数はそれほど多くはないけれどちょいちょい気になる本がうまい事並んでいる。あと、suicaのペンギングッズがあって、わたしはそればかり物色してた。ほしい。(結局、大き目のトートバッグを買った。北陸新幹線開通記念のグッズらしい)
ああ、そうじゃなくて、ムーンプランナーを並べに来たんだ。
せっかくなので、非売品だけどMOON PLANNER BOOKも参考としておいておきます。装丁に乱れのあるものなので、販売はできないんですけど中は読むことができます。
詳細は、【NEXT文具セレクション】
願いは、ある日突然、叶うらしいから。